ワーケーションの目的や懸念点にはどんなものがありますか?
そんな企業もたくさんあるのではないでしょうか?
目的をきちんと理解することで、導入するべきかどうか、判断しやすくなります。
そこでこの記事では、ワーケーションを導入する目的や懸念点、また、ワーケーションに力を入れている自治体などについてまとめています。
導入を検討している企業にとって、重要な項目なので、ぜひ最後までご覧ください。
ワーケーション導入の目的とは?
ワーケーション導入の目的には次の3つがあります。
◎従業員の満足度向上
◎採用力の強化
◎有給取得の促進
それぞれ詳しく解説していきます。
従業員の満足度向上
オフィスから離れ、仕事環境をガラリと変えることは、想像以上にリフレッシュ効果が期待できます。
定期的に思いっきりリフレッシュする環境を作ることで、仕事へのストレスが減り、結果的に離職率を抑えることに繋がります。
従業員に「この会社で長く働きたい」と思ってもらえることほど、企業にとって嬉しいことはないですよね。
そうなれば、自然と仕事へのモチベーションもアップするので、会社の業績にも良い影響が出るでしょう。
採用力の強化
ワーケーションという言葉は、急激に広まってはきていますが、実際に導入している企業はまだまだ少ないのが現状。
ワーケーション制度を導入することで、”働き方改革に前向きな会社”だということを、採用現場でアピールすることができます。
より良い人材を確保するために、企業側も時代に合わせてどんどん新しいことに取り組む必要があります。
有給取得の促進
働き方改革法案の成立により、2019年4月から有給休暇義務化が施行されています。
決められた日数の有給休暇を取得させなかった場合、企業側が罰金に処せられるので、その対策を求められてきました。
ワーケーションは休暇先で仕事ができるため、従業員はこれまでよりも気軽に有給休暇を申請できるようになり、有給の取得促進に繋がります。
これらを上手く組み合わせれば、長期休暇も可能となり、プラベートと仕事の両立がしやすくなるでしょう。
従業員にワーケーションの目的を共有することが大事
ワーケーション制度を導入する際に大事なことは、実際にその制度を使うことになる従業員に、ワーケーションの目的をきちんと共有しておくこと。
企業側と従業員側の間に認識の違いがあったら、導入しても上手く活用することができません。
年代や会社での立場によって、仕事や休暇に対する考え方や価値観は違うので、
- なぜワーケーションを導入するのか
- どんな風に制度を利用してもらいたいのか
という点は、丁寧に説明する必要があります。
ワーケーションを導入する際の懸念点
ワーケーション制度を導入する際に、考えられる懸念点を3つご紹介します。
導入に費用がかかる
まず一番に上げられるのは、導入に費用がかかってしまう、という点。
ワーケーションをするということはつまり、テレワークができる環境を整備しなければいけないということです。
- システム作りにかかる費用(セキュリティ対策など)
- 移動や宿泊に伴う経費
このような費用がかかるのは避けられないのですが、ワーケーションを推奨している自治体が、手厚い補助金を出している場合があります。
各自治体によって内容が様々なので、一度調べてみる価値はありますよ。
管理・運用が難しい
管理・運用が難しい、というのも容易に想像がつくと思います。
ワーケーション中の業務の勤怠管理はどうするのか、仕事の連絡はどの範囲まで許容してもらうのか、など、目が行き届かない分、難しいことも多いです。
大前提として頭に入れておかないといけないことは、通常の就業規則で従業員を働かせるのは難しいということ。
- 有給休暇として完全に休む日を決める
- 半日だけ働く
など、予め就業時間をしっかり規定することが大事です。
業種によってはそもそもワーケーションが難しい場合もあるので、「これだけの量の仕事をすればOK」など、定量を決められる仕事の方が管理がしやすいでしょう。
休暇と仕事の線引きが曖昧になる
午前中は仕事、午後は休暇、など就業時間を決めておくことが大事だとお伝えしましたが、中には上手くオンオフを切り替えられない人もいます。
ついついやりかけの仕事のことが気になって、心の底から休暇を楽しめない場合もあるでしょうし、反対にリゾート地に行ったら気持ちがだらけてしまって仕事に集中できない、という場合もあるでしょう。
こればかりは、向き不向きの問題なので、制度導入後でも無理に推奨するのではなく、従業員の意見を尊重することが大事です。
ワーケーション導入企業”日本航空(JAL)”の事例
日本航空(JAL)では”ワークスタイル変革”と名付けて、これまで様々な働き方改革に取り組んできましたが、その中の一つとしてワーケーション制度も導入しています。
これが、2017年7月の話だというので、また驚きです。
実際にワーケーションを導入したことで、長期休暇取得の際、急な仕事の予定が入っても日程変更をしなくて良くなったり、休暇期間中に会社が協賛する地域でのイベントへの参加なども可能になったり、フレキシブルな働き方を実現させることができるようになりました。
JALの場合は、テレワークという働き方が既に確立されていたため、ワーケーションも自然と受け入れられたと考えられます。
せっかく費用をかけて制度を作っても、実際に誰も使わなければ意味はありません。制度を利用するハードルを下げ、気軽に申請できるような仕組みにすることが成功への一歩になるでしょう。
ワーケーションに力を入れている自治体
ワーケーションに興味があっても、導入にはそれなりの費用が発生するので、なかなか実行に移せていない企業もたくさんあるでしょう。
そういった企業が前向きにワーケーション制度を検討できるように、自治体がバックアップしてくれるケースがあります。
補助金の額が大きい、申請のハードルが低いなど、特に力を入れている都道府県をここでは2つご紹介します。
和歌山県
和歌山県は、今ほどワーケーションに注目が集まる前に、WAKAYAMA WORKATION PROJECTを立ち上げ、県内で気軽にワーケーションに取り組めるよう、様々な情報発信を行ってきました。
- 首都圏・京阪神からの便利なアクセス
- 世界に誇る観光資源
- ITサテライトオフィスの進出
- 災害に強いネットワーク環境
これらの点から、ワーケーション環境に最適だと全国にアピールし、徐々に「ワーケーションと言えば和歌山県」と認知され始めてきています。
既に多くの企業からのワーケーションを受け入れており、実績もたくさんあります。
福島県
福島県では、積極的にワーケーションについてのオンラインイベントを開催したり、モニターツアーを組んだりしています。
- ワーケーションの受入環境整備に係る経費の一部を補助(宿泊施設が対象)
- 県外在住の方が福島県内に一定期間滞在し、テレワークを行った場合にかかった費用の一部を補助
など、受け入れる側のサポートだけでなく、利用者側の補助金も用意されており、どれだけワーケーションに力を入れているのかが伝わってきます。
また、各地にテレワークセンターやコワーキングスペースがあるので、仕事がしやすい環境が整っています。
自治体が提供している【ふくしま“ちょこっと”体験コース】というプログラムを使って、福島県で実際にワーケーションをしてきた記事があるので、ぜひそちらも読んでみてください!
ワーケーションの目的を理解して新しい働き方を!
ワーケーションの目的をはっきりと理解し、きちんと従業員に共有できれば、様々なメリットを得ることができます。
もちろん業種によっては難しい場合もありますが、懸念点を踏まえた上で魅力に感じるのであれば、ぜひ前向きに検討してみてはいかがでしょうか?